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「テキーラ」ってどんなお酒?

01|テキーラとは?
メキシコ・ハリスコ州にある村の名前「テキーラ」に由来し、アガベアスル(竜舌蘭)を原材料とする蒸留酒で、指定5州(ハリスコ、ナヤリ、タマウリパス、ミチョアカン、グアナファト)内で製造された、原産地呼称で保護されたお酒である。その中でもハリスコ州は全てのテキーラ生産の約95%を占めている。CRT(テキーラ規制委員会)によって厳正に管理され、テキーラに関するメキシコ公式規則(NOMT)を満たしたものだけが「テキーラ」と呼ばれている。
02|テキーラの規則

200 種類以上あるアガベの中から「アガベアスル」を原材料として使用する。

原産地呼称で保護された指定産地で育成したアガベアスルを使用し、製造したものである。

蒸留回数2回以上

アルコール度数35%~55%以内である。

メタノールの値3mg/ml以下である。

水以外のメローイング(添加物)1%以下である。

ボトルのラベルにNOM番号(4桁の生産者番号)を記載する。(例:NOM9999CRT)

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03|テキーラのカテゴリー
原料の使用割合によって、 二つのカテゴリーに分けられている。
  • ❶ テキーラ
  • 糖分の51%以上はアガベアスル由来でなければならない。残りはサトウキビの糖蜜やショ糖、ブドウ糖、トウモロコシなど他の天然由来の糖分を用いてもよい。
  • ❷ 100%アガベテキーラ
  • 糖分の100%がアガベアスル由来のもの。ラベルに “100% de agave”, “100% puro de agave”, “100% agave”, “100% puro agave”等のいずれかの記載がなされている。
なお、「ミクスト(mixto:スペイン語で「混合の」という意味)」の用語は、テキーラの製造現場では使用されることもあるが、1994年の最初のテキーラに関する公式規格(NOM-006-SCFI)以来現在に至るまで「テキーラ」という言葉が正式に用いられている。
04|テキーラの製法
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株分けによる子株(イフエロ)から5~10年ほどかけてじっくりと育てられたアガベアスル(英語ではブルーアガベ)を使用する。栽培の途中で「バルベオ」と呼ばれるアガベの葉先を剪定する生産者もある。近年、有機栽培への動きが盛んになっている。
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Agave Azul Tequilana Weber アガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー
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「ヒマドール(Jimador)」と呼ばれる伝統的な職人によりコア(専用の刃物)を使用して葉をそぎ落とし、アガベアスルの球茎部(ピニャ)の皮を剥き、蒸留所に運ぶ。
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レンガ製のオーブン(マンポステラ)、または蒸気圧力釜(アウトクラベ)によってじっくり蒸し上げてピニャに含まれるイヌリン(炭水化物の一種)を糖化させる。アガベを加熱せず、酵素分解を用いる蒸留所もある。
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回転式の石臼(タオナ)を使う伝統的な方法と、ローラーミル(シュレッダー)を用いる一般的な方法を使用しアガベジュースを搾汁する。現在タオナを使用している蒸留所は2017年の6ヶ所から10ヶ所以上に増加。その中で今も馬を使っているところは1ヶ所のみ。ディフューザー(搾汁用の大型機械)を使用する蒸留所もある。
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搾ったアガベジュースに水や酵母を加えて発酵させアルコール化する。このときに加える酵母の種類などによってテキーラの味が大きく左右される。オリジナルの酵母を使用しているところもある。人為的に酵母を加えない自然発酵や発酵の過程で搾汁後のアガベの繊維を入れる蒸留所もある。ステンレスもしくは木製・コンクリート製の発酵槽を使用する。
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ステンレスもしくは銅製の蒸留器で2回以上蒸留する。連続式蒸留器を使っていたり、蒸留器の中にアガベの繊維を入れるところもある。
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蒸留後に樽熟成せずにそのまま瓶詰めされるものと、オーク樽によって熟成をさせるものに分かれる。樽の種類や熟成期間によって各ブランドの味わい(個性)を醸し出している。
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蒸留後の原酒をフィルターに通して固形物を取り除きボトリングする。蒸留所によってフィルターの種類は様々。ろ過しないブランドもある。
05|テキーラのクラス
テキーラは熟成期間によって 5つのクラスに分類される。
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    • オロ ORO

    • JOVEN (ホベン)、GOLDと呼ぶ場合もある。ブランコと他のカテゴリーのものをミックス、またはブランコにカラメル色素で色付けしたもの。
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    • ブランコ BLANCO

    • SILVER、PLATAと呼ぶ場合もある。
      アガベ本来のフレッシュな味わいを楽しめる。
      • 樽熟成期間
      • 0~2ヶ月
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    • レポサド REPOSADO

    • 軽い甘みとフルーティーさがあるソフトな風味。
      • 樽熟成期間
      • 2ヶ月~1年
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    • アニェホ/アネホ AÑEJO

    • 樽由来のまろやかな甘みを感じられる。
      • 樽熟成期間
      • 1~3年
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    • エクストラアニェホ/エクストラアネホ EXTRA AÑEJO

    • 奥深い味わいと、樽の個性が強く表れている。
      • 樽熟成期間
      • 3年以上
  • その他
    • テキーラ マドゥラド クリスタリノ TEQUILA MADURADO CRISTALINO(公式名)
    • レポサド、アニェホ、エクストラアニェホを特殊なフィルターでろ過して色を透明にしたものの総称。
    • クリア レポサド CLEAR REPOSADO / TEQUILA REPOSADO CRISTALINO
    • 2018年に新発売されたレポサドを特殊なフィルターでろ過して色を透明にしたもの。
    • クリア アニェホ/アネホ CLEAR AÑEJO / TEQUILA AÑEJO CRISTALINO
    • アネホもしくはエクストラアネホを特殊なフィルターでろ過して色を透明にしたもの。熟成ならではの樽の香り・甘みが残る。
06|テキーラの主要機関
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  • テキーラ規制委員会(CRT)
  • Consejo Regulador del Tequilaの略。
    1994年に創設されたメキシコ国内外でテキーラの原産地呼称を守ることを主目的とした非営利団体(NPO)。メキシコ経済省認可の下で、メキシコ公式規格(NOM-TEQUILA)の遵守とテキーラ製造の全過程を通じてその品質と真正を保証し、テキーラに関する検査及び認証を行う唯一の機関である。
    2019年は創設25周年ということで、記念行事の一環として2冊の書籍を刊行。『アガベとテキーラ、成功の二元性』(CRTのこれまでの活動の総括と、CRTの会員であるテキーラメーカー自身によるプロフィールを掲載したもの)と『テキーラの技術マニュアル』(テキーラの製法の各段階について、専門の学識経験者がまとめた論文集)である。それぞれ300頁を上回る力作であり、今後のテキーラ研究には不可欠な参考資料である。
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  • 全国テキーラ産業会議所(CNIT)
  • Cámara Nacional de la Industria Tequilera or National Chamber of the Industry of Tequilaの略。
    1959年にアガベ生産者や蒸留所、メーカー、ブランドなどが集結して誕生した業界団体。メキシコ政府関係機関と協力し、テキーラの輸出に必要な法的手続きに関するサポートや、テキーラ産業の保護・発展のためのプロモーション活動を積極的に展開している。CNITのイニシャティブにより、指定地域である181ヶ所の市町村でテキーラの原産地呼称制度による保護が確立し、世界中にテキーラが普及する重要な契機となった。
07|メキシコのその他のお酒
  • メスカル
  • 約200種類の中からアガベアスルを含む52種類のアガベ(竜舌蘭)を原料とするメキシコ原産の蒸留酒。
    1994年にCRM(Consejo Regulador del Mezcal・メスカル規制委員会)が設立され、現在9つの州(オアハカ、ドゥランゴ、サカテカス、タマウリパス、グアナファト、サン・ルイス・ポトシ、ミチョアカン、ゲレロ、プエブラ)が原産地呼称による保護対象地域に認定。963箇所の市町村でメスカルが作られている。
    2013年以降、メスカルの製造者とCRMは、メキシコ「政府のイニシャティブの下で「メキシコの飲料文化」の価値を認める新しい規格を作り、手続きに4年以上かかって2017年に新しい規格NOM-070が発効。メスカルの正統性・多様性が認められた。
    アルコール度数は35%〜55%である。
    現在ブランド数は201ブランド(60カ国で販売)、生産量は2017年で3985万ℓ(2011年は980万ℓ)とまだ少なく、輸出量は2801万ℓ(2011年は627万ℓ)となりこの5年間で大きな伸びを見せている注目のスピリッツである。2017年の主要輸出国は、アメリカ合衆国(64%)、スペイン(6%)、イギリス(5%)、フランス、カナダ、イタリア(各4%)である。
    正規のメスカルの瓶には、CRMの認証を得たメーカー、ブランド毎の番号が記載されたホログラム(holograma)が添付されている。
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  • メスカル規制委員会(CRM)
  • 1994年にメスカルの原産地呼称による保護宣言が公布された後、1997年に民間法人として設立された、メキシコ当局によってメスカルの製造管理を委任された認証機関である。メスカルに関するメキシコ公式規格(NOM-070)が順守されているかを検証・認証し、メキシコ内外でメスカルの原産地呼称を守り、製品の信頼性、トレーサビリティ、品質および持続可能性の保証を主要目的としている。直営のMezcal.comではビデオを通じてアガベ、メスカルの製法、メーカーなどの情報を随時発信している。
  • 醸造酒
  • PULQUE(プルケ): アガベプルケロを代表する約10種類のアガベを原材料に作られた醸造酒。

  • アガベスピリッツ
  • BACANORA(バカノラ) : ソノラ州原産の蒸留酒。アガベはエスパディン系のパシフィカのみ使用される。

    RAICILLA(ライシージャ) : ハリスコ州でアガベアスル以外のアガベを原材料に造られた蒸留酒。

    COMITECO(コミテコ) : チアパス州のコミタン(都市)で栽培されたアガベを原材料とした蒸留酒。

    LICOR DE AGAVE(リコールデアガベ) : アガベを原材料としたテキーラやメスカル等の規格外の蒸留酒。

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  • その他
  • SOTOL(ソトル) : チワワ州、ドゥランゴ州、コアウイラ州原産のキジカクシ科のダシリリオン(Dasylirion)から作られた蒸留酒。

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