<テキーラ業界で働く人々Vol.3>カサ マエストリ蒸留所で働く人々の生活とプライベートブランドの需要拡大

テキーラジャーナルでは、2021年7月25日~8月9日に実施した読者アンケートでいただいた沢山のリクエストにお応えして、メキシコをはじめ世界中の「テキーラ業界で働く人々」にフィーチャーしたインタビュー企画をスタートしました。

第3回目は、デスティラドーラ・デル・バジェ・デ・テキーラ(カサ マエストリ)蒸留所のセールス・ブランドコーディネーターBeatriz Núñez(ビアトリス・ヌニェス)さんに、蒸留所で働く人々の暮らしや役割、需要が拡大しているプライベートブランドづくりについてインタビューさせていただきました。

Tequila Journal(以下TJ):
ビアトリスさんは、カサ マエストリ蒸留所ではどのようなお仕事をしていますか?。

Beatriz Núñez(以下ビアトリス):
インタビューありがとうございます。カサ マエストリ蒸留所について日本で紹介する機会をいただき嬉しいです。

デスティラドーラ・デル・バジェ・デ・テキーラ(カサ マエストリ)蒸留所のセールス・ブランドコーディネーターBeatriz Núñez(ビアトリス・ヌニェス)さん私は、国内外の輸入社、卸業者、販売代理店、プライベートブランドを作りたい方などが蒸留所にいらした際に、テキーラの輸入についてやブランドの作り方などのプロセスについてお伝えする仕事をしています。
また、常に最高の素材とテキーラを提供できるように、ボトルなどの各素材関係の業者や生産チームのスケジュール調整を担当しています。

TJ:
カサ マエストリ蒸留所は現在日本に5つのブランドを輸出しており、アガベブーム、カサ・マエストリ、ドーニャセリアなど個性的なテキーラを手掛けている蒸留所の印象です。
テキーラづくりで大切にしているポリシーを教えてください。

カサマエストリ蒸留所の施設ビアトリス:
品質(クオリティ)・アクセスしやすさ(アクセシビリティ)・柔軟性(フレキシビリティ)の3つです。私達は上質な原材料(アガベ)を使って、細部まででこだわりを持ったテキーラづくりをすることを心がけています。テキーラの製造には多くのプロセスがありまずが、どんな小さなプロセスであっても最終的に完成するテキーラの品質に影響します。高品質を保ち続けるために妥協はしません。

また、お客様の会社の規模に関わらず、どなたでも気軽にお問い合わせいただけるアクセシビリティ(アクセスのしやすさ)を大切にしています。
他社と違って最低注文数の制限を設けていないので、もし自分のブランドをつくりたいと思ったら6本(1箱)から注文することができます。

カサマエストリ蒸留所の樽そして、カサ マエストリは製品のカスタマイズの専門家です。
テキーラだけではなく、ボトルデザイン、コルクやラベルの紙の種類なども自由に選択することが可能で、お客様のご要望に柔軟に対応しています。

TJ:
読者の中には、自分のテキーラブランドをいつか持ちたいという夢を持っている方も沢山いらっしゃると思います。ハードルが高いイメージでしたが、最初から大きな金額を投資しなくても夢が実現できるというのは嬉しい情報です。
カサ マエストリ蒸留所で働く従業員の方の人数と、どのような役割をしているのか教えてください。

ビアトリス:
現在は工場(蒸留所)に106人、オフィスに26人います。テキーラの需要が増えたため、将来的に設備を拡張して従業員を増やしていく予定です。

カサマエストリで働くヒマドール各仕事の役割は以下の通りです。

  • アガベロ(アガベ農家)とヒマドール(アガベを収穫する人)
  • ピニャ(アガベの球茎部)を運ぶ人
  • ラボラトリリーでの商品開発と品質管理者
  • マスター・ディスティラー(蒸留責任者)
  • 発酵エリアの担当者
  • 蒸留エリアの担当者
  • ボトリングライン担当者
  • メンテナンス技術者
  • 倉庫スタッフ
  • オフィススタッフ
  • その他

アガベブームのカサマエストリ蒸留所シュレッダーTJ:
テキーラの製造に携わる仕事をしている方の平均収入を教えていただくことはできますか?

ビアトリス:
勤務地と蒸留所によって違いはありますが、一般的には・・・

  • ボトリングラインや一般職: 1日あたり$200 ~ $250 ペソ
  • ヒマドールやメンテナンス技術者などの特別な技術職種: 1日あたり$250 ~ $350 ペソ
  • 工場や倉庫のチームリーダー: 1日あたり$400 ~ $450 ペソ

こちらを参考にしてみてください。
※2021年8月現在100ペソ=約550円

TJ:
テキーラ地区や近隣の地域に住む従業員の方の割合を教えてください。

テキーラ村の中心地ビアトリス:
98%は蒸留所のあるテキーラ地区やその周辺地域に住んでいて、数名だけグアダラハラから通っています。(グアダラハラは蒸留所から車で約1時間半の距離)

TJ:
この地域のテキーラ業界で働く方のプライベートな生活や、1日のタイムテーブルを教えてください。

テキーラ村の街並みビアトリス:
テキーラ村での生活はとてもシンプルです。
ボトリング作業の担当はほとんどが女性で、午前6時から午後2時まで働いています。仕事の後は、お子さんを学校や祖父母の家に迎えに行き、そのまま自宅で過ごします。
ホテルやレストランなどで副業をしている方もいます。

週末やお休みの日は、テキーラ村の中心地に友達や家族と一緒に出掛けて、買い物をしたり食事をしたりします。大都市とは違ってここにはあまり娯楽はありませんが、人との繋がりが強く、誰かと一緒にゆっくり過ごす時間をとても大切にしています。

テキーラ村のメニュメントテキーラ村での一番大きなイベントは毎年11月最終週の週末から2週間開催される「テキーラフェスティバル」(Feria Nacional del Tequila)です。
2020年は中止になりましたが、今年は開催予定となっています。

テキーラ村の雰囲気パレードやチャレアーダス(メキシコのロデオ)、闘鶏、ミス・テキーラコンテスト、音楽、伝統的なショーなどがあり、この地区のテキーラ生産者がブースを出展してテキーラを提供します。テキーラ村の住民と私達テキーラ生産者にとって、1年に1度の大きなパーティーみたいなものですね。

TJ:
コロナウイルスのパンデミック中でも、テキーラの売上は順調に伸びていたと聞きました。

一番意外だったことは何でしたか。

ビアトリス:
私たちの商品はメキシコ国内よりアメリカを中心とした海外向けの販売がほとんどなので、アメリカでのテキーラの需要がとても増えたのは皆さんご存知だと思います。

プライベートテキーラを作りたいという方からのお問い合わせが増えたことが、一番大きなニュースですね。多い日では1日6件のお問い合わせがありました。

TJ:
お問い合わせが増えた理由は何だと思いますか?

ビアトリス:
アメリカではテキーラの飲み方が家飲みにシフトして、ボトル買いにするようになったことだと思います。バーでテキーラを飲む代わりに、家飲み用でボトルを買うことにより様々な種類のテキーラボトルを手にする機会が増えました。
テキーラが大好きな方なら、たくさんのボトルが並んでいるのを見て、自分のテキーラをつくってコレクションしたいと思うようになるのでは?

アガベブームのアメリカでの家飲み需要TJ:
最後に、日本へのメッセージをお願いします!

ビアトリス:
カサ マエストリ蒸留所はいつでも日本からのお客様をお待ちしています。

カサマエストリのアガベ畑テキーラの製造過程だけではなく、メキシコ・テキーラ村の雰囲気も体感ください。テキーラ村のあちこちから蒸し焼きにしたアガベの甘くて香ばしい匂いが漂い、フレンドリーな人々が皆さまをお迎えします。

Click here for English article

<アガベブーム(AGAVE BOOM)>
https://www.agaveboom.com/
輸入社:株式会社シーゲルコーポレーション/RAY TRADING S DE RL DE CV

日本語サイト:
https://www.rtstequila.com/

運営メディア:MEXI TOWN
https://www.mexi-town.com/travel

<カサ・マエストリ(Casa Maestori)/ドーニャセリア(Dona Ceria)>
輸入社:株式会社スリーアローズ
http://www.threearrows.yokohama/

インタビュー協力:温奇瑞(Ray Trading)