Covid-19がテキーラの生産に「感染」テキーラ産業の現状を解説

Covid-19がテキーラの生産に「感染」
今年の3月までの間でアガベの飲料(テキーラ)生産量は34.7%減少したが、4月にはさらに低下する可能性も予測される。


写真:JUAST

 

ビール業界とは異なり、1日あたりの労働力を50人以下で行うことを義務付けるCovid-19の感染防止対策を行いながら、テキーラ業界は生産活動を中止しなかった。今年の1月から3月までのテキーラ生産高は5390万リットルで、その数値は2019年の同期に比べて35%の減少となったのはCRTのデータから見て取れる。

 

 

テキーラの生産力にとって最大の負荷となっているものは、「1つの作業のまとまりの中では50人以上の人員を投入することができず、工場や輸送での消毒作業のために製造作業を中断することである。」このようにCNITのRodolfo González 会頭が述べた。

 

 

3月末に出された連邦政府の緊急衛生措置では、不可欠でない産業活動の中止が義務付けられ、それを受けてビール業界は4月5日以来生産を最小限レベルで操業している。しかしテキーラ業界では投入する人員数を減らして操業を続けた。
González会頭によれば、保健省の指針に従って、「同省の最初の報告書に示すように農産業は活動を続行できること、そしてテキーラ産業は持続可能な農村開発法により認定された農産業であることに基づいて操業を続けている。」

 

 

テキーラ産業のコンサルタントであるCarlos Riggen氏は、ピニャを加熱するオーブンや加水分解する担当者は「健全な距離」を保って作業をし、また、同じ区域では50人以下の作業者での作業を1.5シフトで行なっているなどで、スタッフのシフト延長によって対応していると述べた。
海外市場の米国、ドイツ、スペインやイギリスでも、飲食店やホテルの閉鎖を受けてテキーラは販売減となってきている一方、家飲みの増加で減少分の一部が回復しているとCNITは認めている。

 

 

メキシコのテキーラ業界は、現在直面しているような非常事態への対策として、1億8千万リットル程度を出荷できるだけの在庫を擁しているとCRTは締めくくった。今回のパンデミックは、ホセ・クエルボ、アスル・センテナリオ、マエストロ・テキレロ・ドベルを製造するBecle社には予想外の追い風になっている。

 

 

アガベ価格はキロ当たり32ペソで推移しており、アガベ需要が相変わらず強いことを示すが、ペソの対ドルレートでの切り下げが、輸出収入増に働く模様であるとRiggen氏は指摘した。

 

 

またBecle社は、本紙に対して、従業員の7割近くがアガベ畑と工場で作業をしており、そうした人員に対する衛生対策を強化し、通勤のために公共交通の利用を控えるよう通達を出し、会社が料金を負担してウーバーやタクシーの利用を図るという状況が生まれた。

 

 

メスカルもビール不足を補う。

 

 


写真:JUAST

 

 

テキーラと同様に、メスカルも農産業として分類されているため、今回の事態の素でも操業を停止していないが、いくつかの操業上の対策を講じている。
CRMによると、1万7千以上の直接雇用の対象としての人員の5割だけが15日毎に交代で作業に当たっている。検査官には、公共交通を使わないで済むように車両を支給し、CRMの職員以外を同乗させないように指示し、感染の可能性を低減させている。

 

 

出典:El Informador(2020年4月21日)
翻訳・解説:松浦芳枝