ユネスコ( UNESCO)によってグアダラハラが2022年の「本の首都」(”World Book Capital”)に指名

グアダラハラが、ユネスコ( UNESCO)によって、2022年の「本の首都」(”World Book Capital”)に指名されました。

Diario de cultura 2020年11月5日

グアダラハラ市は、市民に対して、社会変革の起爆剤として作用し、暴力に立ち向かい、平和の文化を構築するためのコンセプトとして、書籍と読書に関する諸政策を纏め上げる計画を提出していたが、それを評価した本の首都諮問委員会の勧告を受けて、オードレ・アズレ、ユネスコ事務局長から上記の栄誉を授与された。

本の首都としてユネスコから指名される都市は、再来年は、「世界図書・著作権デー」を記念して、2022年4月23日から一年間活動を企画して、書籍と読書の振興を約束するものである。

そうした活動のスケジュールには、ラテンアメリカの作家とのコラボレーションでの文学的イベントや、「バベルの塔」に関する芸術プロジェクト、演劇と音楽を文学と結びつけるその他のイベントが含まれ、詩の朗読のために現地のラジオ局の使用も予定される。

グアダラハラの提案したプログラムは、次の三本の戦略的軸を支柱とする。1)公園やその他の利用可能な空間で、読書活動を通じて公共スペースを回復すること2)子供向けの読み書きのワークショップを開催することなどによって、社会的結合と一体性を高める、3)世代間の繋がり、物語の読み聞かせ、路上での詩の朗読を通じて、居住地区のアイデンティティを強化すること、ユネスコの公式声明は以上のように伝えている。

グアダラハラ市は、暴力の防止政策の改善を目的として、市内の図書館、読書室、書店、出版社及び[グアダラハラ大学によって34年前に創設された]世界的に有名な国際書籍見本市(International Book Fair)会場のような文化財を利用する予定である。


グアダラハラは、2001年から始まった「本の首都」の22番目の選定都市である。これまでの選定都市は以下の通りである。2001:マドリッド、2002:アレキサンドリア(エジプト)、2003:ニューデリー(インド)、2004年:アントウェルペン(ベルギー)、2005: モントリオール(カナダ)、2006:トリノ(イタリア)、2007:ボゴタ(コロンビア)、2008:アムステルダム(オランダ)、2009:ベイルート(レバノン)、2010:リュブリャナ(スロベニア)、2011:ブエノスアイレス(アルゼンチン)、2012:エレバン(アルメニア)、2013:バンコク(タイ)、2014:ポートハーコート(ナイジェリア)、2015:仁川市(韓国)、2016:ワルシャワ(ポーランド)、2017: コナクリ(ギニア), 2018: アテネ、 2019: シャールジャ(アラブ首長国連邦)、2020 :クアラルンプール、2021: ティビリシ(ジョージア)

《解説》
この「本の首都」という事業は、スペインの提案に基づき、1995年にユネスコ総会で制定され、1996年から実施されている、毎年4月23日を「世界本の日」として知られる「世界図書・著作権デー」の記念日の成功を受けて、2001年から始まったものである。4月23日を選定した理由は、同日が、スペインのカタルニア州で本の日と呼ばれるサン・ジョルディの日であることと、「ドン・キホーテ」の作者のミゲル・デ・セルバンテス及びウイリアム・シェークスピアの命日に当たることなどによるとされている。

グアダラハラの指定により、スペイン語圏では、グアダラハラはマドリッド、ボゴタ、ブエノスアイレスに次いで、4番目の開催都市となる。なお、2017年4月24日付けのメキシコ連邦政府による文部省の声明は、州民の読書習慣を奨励する施策の一環として、同年の「世界図書・著作権デー」に、グアダラハラ市に於けるメキシコ初の州立読書奨励センターの開設を伝えている。グアダラハラ市政府とハリスコ州政府の文教政策の向上のための連携した努力の賜物として実現したことにより、市行政が文教都市としてのグアダラハラの方向性を定める上で重要な役割を果たした。そして、その活動が布石となり、今回の指名獲得の背景として功を奏したと言えよう。

《出典》
Diario de cultura記事
こちらのページをご覧ください

文部省の声明
こちらのページをご覧ください

翻訳・解説:松浦芳枝