
2019年からE Uでは「スマートツーリズムにおけるヨーロッパの首都」が選定されていて、スマートツーリズムの普及の促進を図っている。
そうした中、スペインでは、2019年2月に国のイニシャティブとして立ち上げた、最先端技術によるインフラ強化を含む革新的なDITこと「スマート観光地(ツーリズム)」プロジェクトを推進してきた。
テキーラ地区がD I T認証を取得するためには、観光の管理に関する次の5本柱の実現状況の検証を受けて、首尾良く合格点を獲得する必要があった。

技術(テクノロジー)
持続可能性(サステナビリティ)
アクセスしやすさ(アクセシビリティー)
ガバナンス(管理体制)
この達成という背景には、観光業の新たなより良い方向性の模索と策定に向けて、2016年以降、官民学をはじめNGO、現地の諸財団や有力者たちなどと間で努力を結集してきたことがある。
この取り組みの関係機関の中には、Grupo JB、Mundo Cuervo(クエルボ蒸留所が運営するテキーラ製造工程見学施設)、テキーラ地区総合開発審議会(CODIT)「テキーラ・ルート」、テキーラ町役場及びハリスコ州政府観光省が含まれている。

観光地がDIT認証を受けるためには、以下の要件を満たす必要がある。
1) 革新的であること:先端技術のインフラに立脚する
2) 持続可能な観光開発を保障し、万人向けのアクセスを推進する
3) 観光客と訪問地の環境との相互作用及び一体感を高める
4) 観光客が訪問地で得る経験の質を高める
5) 観光地の住民の生活の質を向上させる
テキーラ地区でのDTIプロジェクトの責任者であるFederico de Arteaga氏は、これらの5本柱のメリットを次のように示す。

また、「テキーラ・ルート」(テキーラ火山を取り巻くテキーラ、アレナル、アマティタンなどの自治体を指す)と共同で、観光客に現地のホテル、店舗や活動のオプションを知らせる店舗、観光商品、地域の各種サービス情報を含むAppを備えている。



革新については、テキーラの信憑性、伝統、生産チェーンを示す観光製品のオファーと製造工程の品質を絶えず向上させていること。
持続可能性に関しては、太陽光パネルの設置を通じて、企業及び個人が、太陽光発電のような代替エネルギーの活用を行なってきたこと。観光業の中でもCO2排出量の削減への取り組みを始めている。


【解説】
この吉報をより現実的に理解するためには、新型コロナウイルスのパンデミックが「テキーラ・ルート」を含むテキーラ地区に与えてきた影響を勘案することが不可欠である。
2020年に記録したハリスコ州への観光客数は1,330万人強であるが、その数字は前年度比の6割減という激減を意味する。同様の傾向が、州都グアダラハラ及びその周辺(723万人、前年度比56%減)、太平洋岸の主要リゾート地であるプエルト・バジャルタ(256万人強、前年度比60%減)となっている。
他方、テキーラ地区は、 グアダラハラからの近さによって重要なオプショナル観光地であり、2020年の観光客数は28万人(前年度比48%減)を記録している。
2006年に立ち上げられた「テキーラ・ルート」は、2019年までの間に、訪問者数が年間10万人以下から100万人にまで増加し、国の内外で同所の知名度の明白な向上が見られたことを踏まえると、パンデミックの影響は甚大であったと言わざるを得ないだろう。
しかしながら、2021年2月頃になると、こうした混迷状況に光が差し始めて良い方向への変化の兆しが現れてきたという。ハリスコ州への観光が活気を取り戻し始め、テキーラ地区にもプラスの波及効果が見られている。
観光客の多くはマスクを着用し、社会的距離を保ちつつ密を回避して観光を楽しんでいると報じられている。今回のテキーラ地区のD I T認証取得は、同地への観光を促進するだけではなく、これからの観光業の方向性を示す貴重な第一歩として、メキシコの他の多くの観光地にとって有意義なモデルとなりうるであろう。
翻訳・解説:松浦芳枝
写真:JUAST
【出典】
México Desconocido
DTI
El Occidental
Tequila Inteligente
この吉報をより現実的に理解するためには、新型コロナウイルスのパンデミックが「テキーラ・ルート」を含むテキーラ地区に与えてきた影響を勘案することが不可欠である。
2020年に記録したハリスコ州への観光客数は1,330万人強であるが、その数字は前年度比の6割減という激減を意味する。同様の傾向が、州都グアダラハラ及びその周辺(723万人、前年度比56%減)、太平洋岸の主要リゾート地であるプエルト・バジャルタ(256万人強、前年度比60%減)となっている。
他方、テキーラ地区は、 グアダラハラからの近さによって重要なオプショナル観光地であり、2020年の観光客数は28万人(前年度比48%減)を記録している。
2006年に立ち上げられた「テキーラ・ルート」は、2019年までの間に、訪問者数が年間10万人以下から100万人にまで増加し、国の内外で同所の知名度の明白な向上が見られたことを踏まえると、パンデミックの影響は甚大であったと言わざるを得ないだろう。
しかしながら、2021年2月頃になると、こうした混迷状況に光が差し始めて良い方向への変化の兆しが現れてきたという。ハリスコ州への観光が活気を取り戻し始め、テキーラ地区にもプラスの波及効果が見られている。
観光客の多くはマスクを着用し、社会的距離を保ちつつ密を回避して観光を楽しんでいると報じられている。今回のテキーラ地区のD I T認証取得は、同地への観光を促進するだけではなく、これからの観光業の方向性を示す貴重な第一歩として、メキシコの他の多くの観光地にとって有意義なモデルとなりうるであろう。
翻訳・解説:松浦芳枝
写真:JUAST
【出典】
México Desconocido
DTI
El Occidental
Tequila Inteligente