テキーラ業界で活躍する女性たち “LAS MUJERES DEL TEQUILA”, ESPECIAL, FORBES.COM.MX

テキーラ業界で活躍する女性たち

長年男社会であったテキーラ業界。

Forbes Méxicoが最近組んだ特集の中で、テキーラ製造で女性の視点が勝ち得た成功と待ち受ける課題について熱く語る女性たちの素顔が明らかになる。

テキーラへの世界的評価を優れた感性と新しい発想によって不動のものとする、これらの女性たちは、テキーラ界におけるたおやかにして大胆な「革命」の旗手ではないであろうか。
 テキーラ業界で活躍する女性たち 長年男社会であったテキーラ業界。Forbes Méxicoが最近組んだ特集の中で、テキーラ製造で女性の視点が勝ち得た成功と待ち受ける課題について熱く語る女性たちの素顔が明らかになる。 テキーラへの世界的評価を優れた感性と新しい発想によって不動のものとする、これらの女性たちは、テキーラ界におけるたおやかにして大胆な「革命」の旗手ではないであろうか。 “LAS MUJERES DEL TEQUILA”, ESPECIAL, FORBES.COM.MX Septiembre 2021 Texto por Viridiana Mendoza Escamilla y Raúl Curiel Fotos por Fernando Luna Arce メキシコの代表的な産業の一つであるテキーラ 約170社の蒸留所が創業するこの業界の特徴を数字で見てみよう。農作業(アガベ栽培)を中心に約7万人の雇用を創出し、3億7,400万ℓ(2020年度)の総生産量の内、2億8,600万ℓが世界120カ国以上に輸出され、23億ドルの外貨を獲得している。このように、テキーラが、メキシコの経済産業に於いて極めて堅固な存在であることは明白であるが、他方イメージで捉えてみると、口髭を蓄えた馬に乗ったカウボーイという地方の男性的なイメージが長い間持たれていたことも事実である。しかし、数年前から、こうしたステレオタイプにも変化をもたらす新風が吹き始めており、その担い手として、業界への女性の参加が着実に拡大して来ている。 荒波の中に勇敢にも飛び込んで行った女性たちは以下の通りである。括弧内は主宰する組織または経営する蒸留所である。なお、スペイン語の人名につきものの煩雑さを避けるために、以下の本文中は下線を施した名前のみをカタカナ表記とする。 Gabriela Cañedo(Universo Tequila) Rubí Esmeralda Partida(Tequila Tres Mujeres) Mayra Paola Martínez Reyes(Tequilera de Arandas) Marcela Orendain Giovannini(Tequila Orendain) Leticia Hermosillo Ravelero(Tequila Puerto de Hierro) Iliana Elizabeth Partida(Hacienda de Oro) Carmen Villarreal Treviño(Casa San Matías) Guadalupe Newton Frausto(Destilería Santa Lucía) Bertha González Nieves (Casa Dragones) Guadalupe Lucía (Melly) Barajas Cárdenas (Vinos y Licores Azteca) こうした変化は、新たな現象として市場での女性消費者が増加している中にも確認される。業界内での変化は、陣頭指揮を取る女性経営者の登場と、大手メーカーでも女性の管理職への登用が増加していることに明確に示されている。このように明言するのはCNITによるテキーラ専門家(Conocedora del Tequila)の認定を受けた、“Universo Tequila”を主宰するガブリエラである。 家族経営と現実的な後継者の問題 現在約170社存在するテキーラ蒸留所の中で、少なくとも12社が女性経営者によるものである言われている。この数字の大小はさて置き、伝統的に閉鎖的な男業界への女性の参入をもたらした根本的要因として、客観的な必要性があることが指摘できる。家族経営の蒸留所では、後継者の問題は避けて通れない側面があるからである。家族経営のメーカーの社長には、後継者になる息子がいない場合が少なくない。しかし、娘はいることから、女性を会社の代表として業界に含めることは、言わば背に腹はかえられぬという部分が根底にあるにせよ、業界内で世代的な受容が高まっているという現実がある。そこには、以前の世代の受けた教育と今日の世代のそれとの間には違いがあり、そこから状況への変化が起きつつあるということになる。親の経営する蒸留所で既にマーケテイング・営業職から社長になったイリアナは典型的な一例である。しかしながら、現状は、彼女のような事例が一般化しているとは言い難く、女性による蒸留所経営が、選択肢の「一つ」であると普通に認識されるにはまだ道半ばであると彼女は語る。 イリアナの言葉を借りると、そうした立場にある女性たち自身も、実は新たな心構えが必要であり、それは自分が望むことは叶えることができる、能力の点で男性に劣っているのではない、容姿で営業職に抜擢されるのではなく、実力で会社の様々な分野で活躍することができることを自覚できるように気づかせることが肝要なのだと。 正反対の事例は、本テキーラジャーナルのコラムで既に紹介した「テキーラの女王」ことメリーである。詳細については同コラムの参照をお願いするところであるが、ズブの素人でありながら、父親の願いを叶えたい一心で転業までしてテキーラ業界に飛び込んで成功を収めた異例中の異例である。彼女が立ち上げた25年前は女性が皆無という状況の中で、「男性」の経営者の表情に嫉妬を感じ取ったと述懐している。 また、夫と共に会社の立ち上げに当たったレティシアは、テキーラビジネスでの女性の取り組みは然るべき評価を受けるだけでなく、特別なことではなくごく普通のこととして世間で理解される必要があると強調する。彼女は男性の経営者と同様に職業上の義務を遂行し、テキーラの製造兼瓶詰め会社を経営している。 テキーラ製造における「女性らしさ」の意義 女性ならではの優れた感性や育児の経験などは、以前はテキーラ業界では弱点と見做されることが普通であったが、今では、製品の中身とボトル体裁のデザイン決定では女性の優れた感性が逆に強みとなり、子育てを通じて培った世話をするという役割は、より大きな責任の遂行と関係して来ることが明白になった。テキーラ業界の中で女性の行動はより効率的になり、資源利用効率が改善したことで、結果的に会社の市場競争力を高めることになった。このように語るのはグアダルーペである。しかし、同時に、「女性としてこの業界で働く上で最も苦労する点は、正に女性経営者であること」であり、業界内で理解を得ることの難しさを指摘する。 また、業界の「不承不承」が最も強く感じられるのは、アガベ農家であると語るのがマイラである。最近のアガベ畑では、収穫作業をするヒマドーラ(jimadora)を始め、農作業に関わる女性が増えている光景が見られるが、保守的なアガベ農家への対応に苦慮することが少なくないと述べる。業界への女性参入は一様に進んでいるのではなく、蒸留所・事務所とアガベ栽培関連部署とでは温度差があることが容易に理解される。 対照的に、自社(家族)所有のアガベ畑の保有という強みによって、アガベの品質への一層の拘りをよりスムーズに実現できているとマルセラは強調する。 蒸留所が所在する地域社会との関係も重要さを増して来ている。カルメンは、地域社会との共同体意識の共有の重要性を力説する。「最も働きやすい職場」(Best Place to Work)としての認定を受けた、テキーラ業界でジェンダー平等の認証を受けている唯一の企業として、社会的な責任を果たして行くと語る。 ルビーは、経営は挑戦であったとしながらも、安定した品質管理を確立したことが大きな達成感であり、バランスの取れた受注と生産ラインの関係こそが、需要の高まる市場への商品の安定した供給の秘訣であると述べる。 また、ベルタによれば、テキーラ産業の在り方は、海外でのメキシコのイメージ向上に重要な役割を果たしている。テキーラの原産地呼称の所有者であるメキシコ国家から「信任状」を授与されたテキーラ産業は、スピリッツの世界市場で高い競争力を発揮する責任を負っていると力説する。 ガブリエラは、更に一歩進んで、女性の間でテキーラ消費が広がっていることを受けて、今は市場こそがテキーラ業界での更なる女性の活躍を期待し要求しているのだとし、それは、正しく、女性の持つ優れた感性、細部への徹底した拘りと開発・革新力が広く評価されて来ていることの証左であると述べる。 解説 これまでも時折テキーラ業界で傑出する女性たちという特集を目にすることがあり、友人であるメリーを日本で紹介する機が熟したと感じて上述の執筆に至るという経緯があった。筆者がこのテーマに注目してまだ日が浅いが、これまでのところ女性の経営者数自体には劇的な変化はないとはいえ、女性管理職数は明確な増加傾向にあるのはないかと推察する。テキーラの味わいや香りという製品中身のスペックの決定やボトルやラベル、パンフレットなどの体裁のデザイン及び対面に加えてネットやS N Sを通じたプロモーション活動などに、伝統を感じさせながらも現代的な美と格調をさりげなく盛り込んだ新しいテキーラ像が感じられる機会が増えて来ているように思われる。女性だけの手柄にするわけではないが、女性の優しさが男性の逞しさを包み込むような異なったスタイルの融合から生まれるスタイリッシュ感を感じ取ることができる。いずれにしても、テキーラの食中酒として料理とのマリアージュやデザートとの合わせ、応用の幅広い可能性があるなど、女性的な感性と着想で更なる新風を吹き込んでもらいたいと願っている。 また、この記事では取り上げられていないが、日本でも輸入販売されている“Calle 23”を開発製造したフランス人女性蒸留家のSophie Decobecqのストーリーは、もう一つの非常に興味深い「異例な」事例であるので、別途考察の機会を持ちたいと考えている。思えば、テキーラ業界で最初にリーダーシップを発揮した女性は、Herraduraの創業者家族のDoña Gabriela Romo de la Peñaである。彼女の指揮の下で、同社は1974年にテキーラレポサドを初めて世に送り出すに至った。そしてその数年後、ブランドとしてのJimadorが市場に導入された1994年のはるか以前に、息子たちにヒマドールのイメージをラベルに描くことを強く勧めるなど先見の明ある女性であった。彼女に始まるテキーラ業界で傑出する女性の独創性と進取の精神は、本稿で紹介した活躍する女性たちの気概の中に脈々と受け継がれているのである。 Al concluir la presente nota, nos gustaría mucho expresarle nuestro sincero agradecimiento a “Universo Tequila” por su amabilidad de habernos facilitado el artículo publicado en referencia. Bien cierto es que la oportunidad no se busca sino llega…y ya que estamos en septiembre y justamente esto constituye una excelente coyuntura para compartir esta noticia tan interesante y alentadora con los lectores de habla japonesa de TEQUILA JOURNAL. Le enviamos cordiales saludos desde tierras japonesas. Afectuosamente, Yumi Metoki, Directora Ejecutiva de JUAST Yoshie Matsuura Henmi, Experta en Tequila acreditada por la Academia Mexicana de Catadores de Tequila, Vino y Mezcal, A.C. “LAS MUJERES DEL TEQUILA”, ESPECIAL, FORBES.COM.MX
Septiembre 2021
Texto por Viridiana Mendoza Escamilla y Raúl Curiel
Fotos por Fernando Luna Arce

メキシコの代表的な産業の一つであるテキーラ
約170社の蒸留所が創業するこの業界の特徴を数字で見てみよう。

農作業(アガベ栽培)を中心に約7万人の雇用を創出し、3億7,400万ℓ(2020年度)の総生産量の内、2億8,600万ℓが世界120カ国以上に輸出され、23億ドルの外貨を獲得している。

このように、テキーラがメキシコの経済産業に於いて極めて堅固な存在であることは明白であるが、他方イメージで捉えてみると、口髭を蓄えた馬に乗ったカウボーイという地方の男性的なイメージが長い間持たれていたことも事実である。

しかし、数年前からこうしたステレオタイプにも変化をもたらす新風が吹き始めており、その担い手として、業界への女性の参加が着実に拡大して来ている。

荒波の中に勇敢にも飛び込んで行った女性たちは以下の通りである。括弧内は主宰する組織または経営する蒸留所である。

なお、スペイン語の人名につきものの煩雑さを避けるために、以下の本文中は名前のみをカタカナ表記とする。
Gabriela Cañedo(Universo Tequila)
Rubí Esmeralda Partida(Tequila Tres Mujeres)
Mayra Paola Martínez Reyes(Tequilera de Arandas)
Marcela Orendain Giovannini(Tequila Orendain)
Leticia Hermosillo Ravelero(Tequila Puerto de Hierro)
Iliana Elizabeth Partida(Hacienda de Oro)
Carmen Villarreal Treviño(Casa San Matías)
Guadalupe Newton Frausto(Destilería Santa Lucía)
Bertha González Nieves (Casa Dragones)
Guadalupe Lucía (Melly)
Barajas Cárdenas (Vinos y Licores Azteca)

こうした変化は、新たな現象として市場での女性消費者が増加している中にも確認される。

業界内での変化は、陣頭指揮を取る女性経営者の登場と、大手メーカーでも女性の管理職への登用が増加していることに明確に示されている。

このように明言するのはCNITによるテキーラ専門家(Conocedora del Tequila)の認定を受けた、“Universo Tequila”を主宰するガブリエラである。CNITによるテキーラ専門家(Conocedora del Tequila)の認定を受けた、“Universo Tequila”を主宰するガブリエラである。 by Forbes MexicoGabriela Cañedo. 6 de agosto 2021. Foto: © Andrea Gama

家族経営と現実的な後継者の問題

現在約170社存在するテキーラ蒸留所の中で、少なくとも12社が女性経営者によるものである言われている。

この数字の大小はさて置き、伝統的に閉鎖的な男業界への女性の参入をもたらした根本的要因として、客観的な必要性があることが指摘できる。

家族経営の蒸留所では、後継者の問題は避けて通れない側面があるからである。

家族経営のメーカーの社長には、後継者になる息子がいない場合が少なくない。

しかし、娘はいることから、女性を会社の代表として業界に含めることは、言わば背に腹はかえられぬという部分が根底にあるにせよ、業界内で世代的な受容が高まっているという現実がある。

そこには、以前の世代の受けた教育と今日の世代のそれとの間には違いがあり、そこから状況への変化が起きつつあるということになる。

親の経営する蒸留所で既にマーケテイング・営業職から社長になったイリアナは典型的な一例である。しかしながら、現状は、彼女のような事例が一般化しているとは言い難く、女性による蒸留所経営が、選択肢の「一つ」であると普通に認識されるにはまだ道半ばであると彼女は語る。

イリアナの言葉を借りると、そうした立場にある女性たち自身も、実は新たな心構えが必要であり、それは自分が望むことは叶えることができる、能力の点で男性に劣っているのではない、容姿で営業職に抜擢されるのではなく、実力で会社の様々な分野で活躍することができることを自覚できるように気づかせることが肝要なのだと。

正反対の事例は、本テキーラジャーナルのコラムで既に紹介した「テキーラの女王」ことメリーである。

テキーラジャーナルのコラムで既に紹介した「テキーラの女王」ことメリーである。詳細については同コラムの参照をお願いするところであるが、ズブの素人でありながら、父親の願いを叶えたい一心で転業までしてテキーラ業界に飛び込んで成功を収めた異例中の異例である。彼女が立ち上げた25年前は女性が皆無という状況の中で、「男性」の経営者の表情に嫉妬を感じ取ったと述懐している。

Melly Barajas. 20 de agosto 2021. Foto: © Fernando Luna Arce

詳細については同コラムの参照をお願いするところであるが、ズブの素人でありながら、父親の願いを叶えたい一心で転業までしてテキーラ業界に飛び込んで成功を収めた異例中の異例である。

彼女が立ち上げた25年前は女性が皆無という状況の中で、「男性」の経営者の表情に嫉妬を感じ取ったと述懐している。

また、夫と共に会社の立ち上げに当たったレティシアは、テキーラビジネスでの女性の取り組みは然るべき評価を受けるだけでなく、特別なことではなくごく普通のこととして世間で理解される必要があると強調する。

彼女は男性の経営者と同様に職業上の義務を遂行し、テキーラの製造兼瓶詰め会社を経営している。

テキーラ製造における「女性らしさ」の意義

女性ならではの優れた感性や育児の経験などは、以前はテキーラ業界では弱点と見做されることが普通であったが、今では、製品の中身とボトル体裁のデザイン決定では女性の優れた感性が逆に強みとなり、子育てを通じて培った世話をするという役割は、より大きな責任の遂行と関係して来ることが明白になった。

テキーラ業界の中で女性の行動はより効率的になり、資源利用効率が改善したことで、結果的に会社の市場競争力を高めることになった。

このように語るのはグアダルーペである。

しかし同時に、「女性としてこの業界で働く上で最も苦労する点は、正に女性経営者であること」であり、業界内で理解を得ることの難しさを指摘する。

 

また、業界の「不承」が最も強く感じられるのは、アガベ農家であると語るのがマイラである。

エルチャロ。業界の「不承不承」が最も強く感じられるのは、アガベ農家であると語るのがマイラである。最近のアガベ畑では、収穫作業をするヒマドーラ(jimadora)を始め、農作業に関わる女性が増えている光景が見られるが、保守的なアガベ農家への対応に苦慮することが少なくないと述べる。業界への女性参入は一様に進んでいるのではなく、蒸留所・事務所とアガベ栽培関連部署とでは温度差があることが容易に理解される。Mayra Paola Martínez Reyes. 6 de agosto 2021. Foto: © Fernando Luna Arce

最近のアガベ畑では、収穫作業をするヒマドーラ(jimadora)を始め、農作業に関わる女性が増えている光景が見られるが、保守的なアガベ農家への対応に苦慮することが少なくないと述べる。

業界への女性参入は一様に進んでいるのではなく、蒸留所・事務所とアガベ栽培関連部署とでは温度差があることが容易に理解される。

対照的に、自社(家族)所有のアガベ畑の保有という強みによって、アガベの品質への一層の拘りをよりスムーズに実現できているとマルセラは強調する。

Marcela Orendain Giovannini(Tequila Orendain)テキーラオレンダインオーナーMarcela Orendain. Foto: © Fernando Luna Arce

蒸留所が所在する地域社会との関係も重要さを増して来ている。カルメンは、地域社会との共同体意識の共有の重要性を力説する。

「最も働きやすい職場」(Best Place to Work)としての認定を受けた、テキーラ業界でジェンダー平等の認証を受けている唯一の企業として、社会的な責任を果たして行くと語る。

ルビーは経営は挑戦であったとしながらも、安定した品質管理を確立したことが大きな達成感であり、バランスの取れた受注と生産ラインの関係こそが、需要の高まる市場への商品の安定した供給の秘訣であると述べる。

また、ベルタによればテキーラ産業の在り方は、海外でのメキシコのイメージ向上に重要な役割を果たしている。テキーラの原産地呼称の所有者であるメキシコ国家から「信任状」を授与されたテキーラ産業は、スピリッツの世界市場で高い競争力を発揮する責任を負っていると力説する。

ガブリエラは、更に一歩進んで女性の間でテキーラ消費が広がっていることを受けて、今は市場こそがテキーラ業界での更なる女性の活躍を期待し要求しているのだとし、それは、正しく、女性の持つ優れた感性、細部への徹底した拘りと開発・革新力が広く評価されて来ていることの証左であると述べる。

【解説】
これまでも時折テキーラ業界で傑出する女性たちという特集を目にすることがあり、友人であるメリーを日本で紹介する機が熟したと感じて上述の執筆に至るという経緯があった。

筆者がこのテーマに注目してまだ日が浅いが、これまでのところ女性の経営者数自体には劇的な変化はないとはいえ、女性管理職数は明確な増加傾向にあるのはないかと推察する。

テキーラの味わいや香りという製品中身のスペックの決定やボトルやラベル、パンフレットなどの体裁のデザイン及び対面に加えてネットやS N Sを通じたプロモーション活動などに、伝統を感じさせながらも現代的な美と格調をさりげなく盛り込んだ新しいテキーラ像が感じられる機会が増えて来ているように思われる。

女性だけの手柄にするわけではないが、女性の優しさが男性の逞しさを包み込むような異なったスタイルの融合から生まれるスタイリッシュ感を感じ取ることができる。

いずれにしても、テキーラの食中酒として料理とのマリアージュやデザートとの合わせ、応用の幅広い可能性があるなど、女性的な感性と着想で更なる新風を吹き込んでもらいたいと願っている。

 

また、この記事では取り上げられていないが、日本でも輸入販売されている“Calle 23”を開発製造したフランス人女性蒸留家のSophie Decobecqのストーリーは、もう一つの非常に興味深い「異例な」事例であるので、別途考察の機会を持ちたいと考えている。

 

思えば、テキーラ業界で最初にリーダーシップを発揮した女性は、Herraduraの創業者家族のDoña Gabriela Romo de la Peñaである。彼女の指揮の下で、同社は1974年にテキーラレポサドを初めて世に送り出すに至った。

 

そしてその数年後、ブランドとしてのJimadorが市場に導入された1994年のはるか以前に、息子たちにヒマドールのイメージをラベルに描くことを強く勧めるなど先見の明ある女性であった。彼女に始まるテキーラ業界で傑出する女性の独創性と進取の精神は、本稿で紹介した活躍する女性たちの気概の中に脈々と受け継がれているのである。

 

 

Al concluir la presente nota, nos gustaría mucho expresarle nuestro sincero agradecimiento a “Universo Tequila” por su amabilidad de habernos facilitado el artículo publicado en referencia.

 

Bien cierto es que la oportunidad no se busca sino llega…y ya que estamos en septiembre y justamente esto constituye una excelente coyuntura para compartir esta noticia tan interesante y alentadora con los lectores de habla japonesa de TEQUILA JOURNAL. Le enviamos cordiales saludos desde tierras japonesas.

 

Afectuosamente,

 

 

Yumi Metoki, Directora Ejecutiva de JUAST

 

Yoshie Matsuura Henmi, Experta en Tequila acreditada por la Academia Mexicana de Catadores de Tequila, Vino y Mezcal, A.C.

 

翻訳・解説:松浦芳枝

出典:Forbes Mexico

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